修士論文(一部紹介)
| Boston大学 マスターオヴサイエンス 論文実験内容 |
| はじめに |
この実験の目的は日常私達が歯に被せるカラーレスセラモメタルクラウン(日本では通常自費治療で行われ るセラミッククラウン)のマージン(削った歯の表面と接合しあうところ)が製作過程でまたは製作後マージンにどんな変化様相を呈するか調べる実験である。 セラモメタルクラウンのデザインはカラーレスセラモメタルクラウンである。
●CAD/CAM金属歯牙模型は米国の会社に依頼した。
●以下、実験で使用した石膏作業模型、鋳型の鋳造、セラモメタルクラウン作製ははすべてDr.江崎自身、自分で作って実験したものである。
| 実験内容(本文) |
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前歯は取り外せるよう可徹式(取り外しできる事)にした。
コンピューターCAD/CAM |
CAD/CAMの説明図 |
コンピューターCAD/CAMとつながる 細い棒で歯の表面形態をなぞっている。 |
CAD/CAMで歯の形態を入力した 軌跡をプリントアウトしたもの |
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コンピューターCAD/CAMを用い、上の旋盤の機械で可徹した歯の模型と同じような形態に金属の歯牙模型を作った。これを虫歯治療で歯を削った人間の歯の形態とする。
作られた金属の歯牙模型(内面観)
型を採って石膏歯牙模型(作業模型)を作製した。
作業模型の上でワックスを盛り、セラモメタルクラウンの基盤となる金属を作る。
先ほどのワックスを金属の鋳型に鋳造した。
これがセラモメタルクラウンの基盤となる。コーピングのデザインはカラーレスセラモメタルクラウンである。
通常0.4?0.3mmに薄く仕上げる
金属の表面に白色の陶材を盛る
前から見たところ後から見たところ
前歯の見えるところは歯肉のところが黒くならないようにするため金属を内側で止めている。
この表面に塗った白色の陶材の上にもう一度厚く白色の陶材を盛る。
歯頚部はショルダーポーセレン。
陶材を盛ったものをファーネス(焼き釜)で焼くと固まる。
完成した4個のカラーレスセラモメタルクラウン
4unitsのクラウンを6ケース作った。全部で24個のクラウン
これらのマージン(削った歯と被せ物の境目)を一つ一つ顕微鏡で観察する。
クラウンの裏側
次は4個のクラウンをろう着(溶接)してつなぎ合わせる。
4個のクラウンをピックアップする |
クラウン内面に埋没材を流し込む |
ろう着(溶接)前の段階 |
ろう着(溶接)前の段階(クラウンの内側)ここにろうを溶かして溶接する。 |
溶かすための金ろうを歯と歯の間に置く |
それを釜の中に入れてろうを溶かし溶接する。 |
ろうが溶かされろう着(溶接)した後 |
それを本模型にもどしたところ |
ろう着面を綺麗に研磨した(舌面観) |
ろう着面を綺麗に研磨した(正面観) |
ろう着でつながった4個のクラウンを本模型(金属)に
戻し顕微鏡でマージンの状態を観察する。
| 実験の結果概要 |
お見せした実験は実験の一部で、ここではあくまでも大体どういうことを行ったのかの説明である。行った実験全体の結果を以下に簡単に述べる。
| ・ポーセレン(陶材)マージンはメタルマージンよりも熱を加えると変形が大きい。 ・ポーセレン(陶材)の焼成回数が多くなれば多くなるほど、ポーセレン(陶材)マージンの変形量が 大きい。しかし単独冠では最終焼成でその変形したオープンマージンを修正追加でき、クローズ する事ができる。 ・単独冠の最終焼成でオープンマージンを修正クローズする事ができるが、他のクラウンと連結 させるためファーネス内で後ろう着(溶接)すると多少はポーセレンマージンは収縮する。 ・他のユニットとの連結の後ろう着後のポーセレンマージンとメタルマージンはろう着前と比べ後ろ う着後の方が変形は両方共起こるがメタルマージンより、ポーセレンマージンのほうがその度合 いは大きい。 |
つまり簡単にいうと歯肉が黒く見えない作り方をするカラーレスセラモメタルクラウンは普通のセラモメタ ルクラウンより、製作過程で熱によるマージンの変形収縮が起こりやすい。製作の各段階でマージンを注意深く観察し、慎重に対処補正しなければならない。唇 側のカラーレスのところでボディーポーセレン焼成後大きなポーセレンマージンの収縮が起きたなら、その後のグレーズ時に焼成温度の低い低溶ポーセレンを用 いてマージンの収縮を必ず補う必要がある。カラーレスにおいては連結冠を作る際は後ろう着よりも前ろう着で製作したほうが、ポーセレンマージンの変形を防 ぐことができ、また修正しやすい。しかし、極端なロングスパンでは操作も難しいため後ろう着が安全かもしれない。
| この論文および実験を行うにあたり、親身なご指導を頂いたBoston大学 補綴科臨床教授 (故)Dr.Robert S. Stein に深く感謝致します。 |
| あとがき |
私はこの偉大なる先生(Dr. Robert S. Stein)に出会わなかったら歯科医師という人生でやりがいのある仕事を一生知ることはできなかったろう。
私は1986年この先生に出会い患者の臨床的手技や臨床実験方法に多くのことを直接指導受けた。この先生は若いころは新聞配達などをして生計を立て歯科技 工士を経て歯科医師になった苦労人である。そして歯科界で有名なBoston大学の教授となった。歯科医師なら誰でも知っているエマージェンスプロファィ ルの発見者はまさにこの教授なのである。自分の医院で臨床を行い、同時に大学で学生に自分で実際行ったの臨床結果や経験を講義する。つまり、物を書くだけ の講師、教授ではなく臨床、歯科技工、実験、講義を行い自分でやってみて、自分で作り、自分で考え、自分で書き、そしてそれを人に伝える、まさに情熱と根 性の塊で、ただひたすら患者、学生、そして世の中に貢献する歯科医だった。
(故)Dr.Robert S. Stein
私は大学構内の技工ラボに通い、いつも歯科技工をしていた。当時29歳
私はこの実験の前準備としてに平日は図書館で文献を読み、週末土曜、日曜日は技工ラボに通い
Dr. Steinの指導の下、セラモメタルクラウン作りの練習を行っていた。いまではとてもいい経験になった。






